ピルは、ちゃんと使えば怖くない。(ピルの副作用について)

みなさん、こんにちは。どくとる・おいたです。
皆さんはピルについて、どんなイメージがありますか?

私は日々の診療で

「ピルを飲むと太るんですよね」
「妊娠しづらくなるんですか?」
「月経痛はつらいけど、副作用が怖くて飲めていないんです」

といったご質問やお悩みをうかがうことがとても多いです。

 

ピルを飲めば日常生活が快適に暮らせる可能性があるのに
ピルについての情報があいまいなために不安を感じ
飲まない選択をしていらっしゃる方も少なくないように思います。

そこで今回は“ピルはきちんと使えば怖くない”というのをテーマにしてみたいとおもいます。

そもそもピルは何のために使うの?

ピルの使い方には2種類あって、一つは避妊、もう一つは治療です。
治療では、月経困難症という病気に対して使われます。

月経関連で困っていて、日常生活や仕事などに支障が出ていれば、もうすでに月経困難症と診断ができるんです。たとえば

月経痛がつらくて仕事や勉強に集中できない、とか
月経量が多くてすぐにナプキンから漏れてしまうから出かけるのが憂鬱、とか
月経前はイライラしてしまって、周囲の人に当たり散らしてしまうのが辛い、とか。

これらはすべて月経困難症と言えます。
実際、ある統計では月経のある女性のうち7割が月経にともなって不快な症状を感じており
5割の女性が月経痛に悩んでいるという結果になりました。

つまり、大多数の女性が月経の症状で何かしら悩みを抱えているということになります。

月経困難症をピルで治療する理由

月経困難症にはいくつかの治療法があります。

一つは、痛い時にだけ痛み止めを使用する方法。
二つ目は、体質に応じて古来からの知恵を借りて緩やかに治療していく漢方療法。
三つ目は、子宮内避妊器具を使用する方法。

そして、今回ご説明するピルによる治療があります。
ピルが月経困難症に効く理由をご説明しましょう。

こちらの図をみてください。

まずこちらがピルをのんでいないときの一般的なホルモンの動きです。
前半はエストロゲン、後半はプロゲステロンというホルモンが山をつくっています。

エストロゲンは、子宮内膜を厚くする作用があります。
その他にも、体を健康に保ったり、肌つやをよくしたり
自律神経の働きを安定させたりもしています。
月経がおわってから2週間くらいの間はからだの調子がいいと感じるひとも多いと思います。

 

そして、後半2週間に多くなるプロゲステロンは、妊娠した状態を保つために必要なホルモンです。ですので、体温を上げたり、食欲を更新させたり、水分や栄養素をためこんだりする作用があります。

でも、妊娠していない女性や妊娠を希望しない女性にとっては、太りやすい時期に感じたり
体温の上昇で眠気がつよくなったり、集中力が低下したり、いらいらしたりしやすくなる時期でもあります。

 

次に、こちらの図を見てください。

これはピルを飲んでいるときの2つのホルモンの変化です。
先ほどのような山はなく、とても緩やかな変化です。

前半はエストロゲンの山がないので内膜が厚くならず、月経量が減少します。
後半はプロゲステロンの山がないので体温上昇や食欲亢進、水分や栄養素のため込みがおこりづらく
眠気や集中力の低下、いらいらなどの程度が軽減するという効果が期待できます。

ピルの副作用って?

ピルの効果やその理由をご説明したところで
今度はみなさんが不安に思われているピルの副作用についてお話しします。
まずは、とくに多い質問から。

Q. ピルを飲むと太る?

A. 基本的にはまちがいです。

先ほどご説明したように、食欲亢進や水分貯留の原因であるプロゲステロンの値は低く抑えられるので、むしろ自然に月経があったときよりも体重コントロールがしやすいと思います。

ただ、最初飲み始めの1-2か月は、ピルに含まれるエストロゲンの作用で少し体重増加する可能性がありますが、それは一時的なもので、服用を続けるうちに影響は少なくなります。

Q. ピルを飲むと妊娠しづらくなる?

A. これはまちがいです。

ピルを内服している間は排卵が抑えられ、内膜も薄く保たれるので妊娠をする可能性は極めて低いです。
でも、ピルを内服するのをやめれば、通常の状態に戻ります。
長期間服用してもきちんと通常の状態に戻ります。妊娠しづらくなることはありません。

Q. ピルの副作用って何ですか?

A. 本当に注意しなければならない副作用は【血栓症】です。

血栓症というのは、(主に足に)血の塊ができて、その塊が血流にのって肺などの重要な臓器に詰まるり、命に係わる状態になることです。

皆さんはエコノミークラス症候群という病名を聞いたことがあるでしょうか。

飛行機などで長時間体を動かせない場合などで、足にできた血栓が肺に詰まると肺塞栓となり
胸が痛くなったり、呼吸が苦しくなったり、意識を失ってしまったりします。
それと同じ状態が、ピルを飲むと起こりやすくなります。

10-20代の方は、血栓症にかかるリスクはかなり低く比較的安全に使用できるとおもいます。

ただし【出産直後】や【たばこを吸う方】【肥満の方】はリスクが上昇するので注意が必要です。
また【お酒の飲みすぎ】で脱水になってしまうのも血栓症のリスクです。

水分をしっかりととり、脂っこいもの・甘いもの・しょっぱいものは適度に。
食べ過ぎないことがとてもたいせつです。

ピルとがんとの関係

ピルを長い期間飲み続けることで、乳がんや子宮頸がんのリスクがわずかに上昇する可能性があるとの報告もあります。

ピルを飲んでいる方は、いえ、ピルを飲んでいなくても。
子宮頸がんや乳がんは、若い女性に多い病気ですので
1年に1回は子宮がん検診、可能であればエコーでの乳がん検診をお受けになるといいと思います。

ちなみに私も2年くらいピルを飲んでいます。
子宮がん検診と乳腺エコーは、母を連れて、一緒に検診センターで受けていますよ!

まとめ

今回は、月経困難症に対する治療薬、ピルについてお話ししました。

この世に存在する薬には、副作用のないものはありません。
現在自分が困っている症状への効果と副作用を天秤にかけて
効果が上回るときには、治療薬を使用したほうが日常生活をもっと自由に、豊かに暮らせる可能性があります。
かかりつけの先生とともに相談しあいながら、ぜひ必要だと感じる際には恐れず使ってほしいなとおもいます。

また、現在はネットでピルを買えることもありますが
ピルを飲むことができない方、慎重投与としなければならない方もいらっしゃいますので
最初は必ず病院を受診し、ご自身がピルを内服できるかどうか判断してもらってから内服を開始してくださいね。

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